三頭谷鷹史【著】
四六判上製/314頁
本体3000円+税
ISBN978-4-902078-02-2
2003年4月刊行
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「いけばな」は芸術となりえるのか
家元制度との矛盾、伝統継承との葛藤、亜流の氾濫といった解決困難な問題を山積みに、いけばなとは何だったのか……。美術からの越境者の眼でジャンル横断的に考察し、日本美術の基軸に関わる問題として提起。
CONTENTS
はじめに
第一章 アヴァンギャルドの季節
戦後いけばな界の異変/批評誌『いけばな芸術』の前衛運動/いけばなのアイデンティティ/前衛運動の祖型「新興いけばな宣言」/中山文甫の装飾革命
第二章 小原豊雲のプリミティヴィズム
焼け跡の中の展覧会/小原豊雲の体質宣言/相互侵犯する主体と客体/小原豊雲とアンリ・ルソー
第三章 いけばなの変革とジャンル横断
前衛いけばな時代の開幕/文人という東洋的「個」/「ゲンビ」のジャンル横断的研究/一九四九年以前と以後
第四章 勅使河原蒼風・戦前
怪物の座に据えられた蒼風/蒼風作品の急変貌/昭和八年の謎/油絵の後進国日本、花芸術の本場日本/近代人のライフスタイルと花/文人的余技の自由度
第五章 勅使河原蒼風・戦後
蒼風いけばなの振幅運動/栄光と批判/暴飲暴食の戦後受容/いけばなでも彫刻でもなく/高まる国際評価/パブリック・アートとインスタレーション/書画花一体化の芸術
第六章 前衛いけばなの挫折
白東社、重森三玲と中川幸夫/努力が才能に追いつく/中川作品に対する蒼風発言の波紋/前衛いけばな正系の実践者
対 談 前衛いけばなの時代 [下田尚利 × 三頭谷鷹史]
この終わりののちにも [北澤憲昭 × 三頭谷鷹史]
三頭谷鷹史(みずたに・たかし)
1947年愛知県生まれ、同志社大学卒。雑誌『ゐまあごを』共同編集、「8号室」活動参加、『毒薬大系』個人編集。『美術手帖』展評、『毎日新聞(中部)』美術欄、『C&D』美術欄、『版画芸術』展評、『朝日新聞(名古屋)』REVIEW欄などを担当。「思索過程としての日本・アジア研究会」結成参加、批評誌『裸眼』共同編集、「壱金講座」結成参加、「美術と美術館のあいだを考える会」結成参加。近年の研究として「化石の美術神話」『朝日新聞(名古屋)』連載、「前衛いけばな試論」『日本女性新聞』連載など。美術評論家連盟会員、名古屋造形大学教授。