人間の安全保障としての文化芸術:人間の家・その創造的アーツマーケティング

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衛 紀生【著】
A5判並製/352頁
2025年2月26日刊行
定価:本体価格3,000円+税
ISBN978-4-902078-83-1
装丁:峯岸 和男

※こちらの価格には消費税が含まれています。

※この商品は送料無料です。

劇場の定義を大きく変えた、社会包摂と幸福経営のレジェンド待望の書

「私たちは必要とされなければならない。
その為の道は、自らが変わり、
自らで切り拓かなければならないのだ。
私たちは誰のために仕事をしているのか、
何のために仕事をしているのか。
これを自らに問うことから、
アーツマネジメントは出発させなければならない。」
(ウェブ連載「集客から創客へーー回復の時代のアーツマーケティング」より)

【推薦コメント】
創造都市の真髄は「社会包摂型劇場」にある。
  ――佐々木 雅幸(大阪市立大学名誉教授)

芸術は人間のためにある、社会資本としての文化芸術。
  ――湯浅 誠(社会活動家、東京大学特任教授、全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長)

社会包摂でつながる人間の家、劇場がめざすものとは。
  ――冨田 成輝(可児市長、全国市長会都市税制調査委員会委員長)

【主要目次】

序 章 カキの森の文化政策

文化芸術の原点はあくまでも「幸福社会」の実現
「稼ぐ文化」は、文化芸術の社会的公共的価値を阻害する
低成長期の財政出動から、文化芸術の諸機能で循環型財政による再投資を
芸術的価値と社会的価値の好循環が「自走化」と「自律化」の経営を生む
「自走化」の実現に向けて芸術機関の経営能力を問われている
「芸術水準の向上」の政策目的に観客動員数の指標設定は適正か
社会と公共性へ向かう行動規範としてのエシカル
深化する過程としての日本の文化政策

第1章 集客から創客へ ──マーケティングから「物量信仰」を引き剥がす

「アーツマネジメント」の登場と芸術活動を支える社会の機運
マーケティングは、決して「集客マジック」でも「打ち出の小槌」でもない
マーケティング戦略は時代環境を映して大きく変化している
マーケティングの「数量信仰」から離脱して、「つながりの品質重視」の時代に
誰からも見えていない「透明人間」の浮遊感 ──社会的孤立と孤独とは
愛好者に限定する狭隘なマーケットからの革新的転位を
前提としての舞台芸術の産業特性と商品サービス特性という制約と優位性
社会課題を解決し、併せて利潤の最大化を実現するCSV経営を実現して「両利きの経営」へ
「一人ぼっちだった私は、私たちになった」 
チケッティングにも、芸術団体と劇場からのコミットメントを ─文化消費を回避する
チラシに過依存する舞台芸術とマスマーケティングのミスマッチ
「事業定義」で獲得する高付加価値市場規模の拡張性
共創価値マーケティングへ
蜘蛛の巣型から蜜蜂型へ
あくまでも「人間」を中心に、ココロと情動と価値観に働きかける
移り気で、気まぐれな顧客をつなぎとめる
マーケティング(関係づくり)は、セリング(販売)を不要にする 
「顧客開発」から「顧客維持」、そして「顧客進化」の仕組みを 

第2章 文化芸術の社会包摂機能による社会的存在価値の成立と国民的認知へ

なぜ、いま「社会包摂」なのか
神戸シアターワークスの活動で自覚した「まち」の意味
「つながり構築」の醸成という社会包摂機能は、文化芸術サービス特性の比類なき「強み」 
ナラティブを深掘りすると「つながり」の実装が可視化される
ホール建設ラッシュ時の常套句だった「心の豊かさ」の曖昧さ
「地縁血縁」から「知縁」へ移行する共助社会の仕組み
「芸術による社会支援」を志向する中でのホール建設ラッシュ
不適正配置を奇貨として、地域のウェルビーイングを担保する機関にリブランディングする
ホール建設ラッシュの裏にもあった「無援社会」への危機感
近視眼的な芸術経営は、コミュニティ崩壊の危機と交差しない
ナラティブが出会う時空を提供する文化芸術のプラットホーム 
文化芸術は「社会脳」を育んで人間を社会的存在に
再び、なぜ、いま「社会包摂」なのか
インフォメーション(情報)よりコミュニケーション(交流)の優位性
「社会的排除」から包摂的な安心安全な社会を考える
「創客」と「社会包摂」、「マーケット・トランスフォーメーション」は、地続きの経営哲学
「創客」は、高付加価値の新しいマーケットへの形成の萌芽

第3章 芸術的価値と社会的価値の好循環が、盤石な経営基盤と「自走化」の実現可能性を構築する

「経済成長という呪い」が生む「新しい貧困」と、リスクヘッジたる「生命維持装置」としての芸術機関
GDPに代わる国民生活を表わす指数は
経済成長至上主義の放縦さを脱ぎ捨てる
「子どもの未来」を諦めない、子どもが「未来」をあきらめない
サルコジの「スティグリッツ委員会」が提示した危機感
「政治不信」どころではない、三十年間にも及ぶ「政治不在」への異議申し立て
人間をど真ん中に据えて「つながりの貧困」を回避する
自殺は、社会の在り様を克明に映している
「プロの経営者」とは何だったのか
米国ビジネス・ラウンドテーブルの方針転換が意味するもの
エシカル消費とESG経営に向かう時代環境の傾斜を背景に、 社会的価値のイケア効果で「新しいマーケット」を
なぜマーケットの転位が必要なのか。「価格弾力性」を併せて考える
時代のトレンドを追い風にマーケット・イノベーションを
何がコロナ禍の社会危機を招いたかに、一級の経済人は気付いている
VUCAの時代に、求められる姿勢とは
文化芸術の「社会経済収束性」を所与とする特性
 ――劇場音楽堂と芸術団体は経済的利益と社会的価値の「両利きの経営」へ
ジョン・スポールストラの「顧客接点」の転位による逆転の発想
社会コスト抑制のプロジェクトも包括的な文化経済戦略
 ――人間のウェルビーイングを軸に世界に誇れる文化国家に

第4章 愛好者に限定するマーケットを「社会的価値共有の親密圏」で上書きする

新しい社会構築にコミットするプログラムにこそ補助制度を
コロナ禍とインフレによる日英の芸術マーケットの窮状
コロナ禍後の英国芸術評議会の方針転換をどう評価するか
政治に翻弄される芸術機関に起きた理不尽
「一人の人間」としての、生き方が問われる社会包摂とは
マネジメントの観点からは、すべてが「本業」である
評価とは、価値を引き出してプロジェクトを進化させる営為
アーツカウンシルは「ファンタジー」か否か
「創客」の解釈で、挑戦的な試みが生まれている
芸術と社会の不幸な出会いを回復に向かわせる「創客」を
俳優の立場から「創客」と真摯に向き合う姿勢
社会実験としての「創客」の進捗を

第5章 「人間の安全保障」としての文化芸術、その拠点施設としての 「人間の家」のマネジメント

「つながり」ある社会を構築する「日本型社会的処方箋」を
「骨太の方針」に社会的処方箋が
社会的処方箋における「利害対立」を解決する先決事項
私たちは「いま」、試されている
「変化」の激しい時代を、一人の人間としてどう生きるべきか
「変化」の激しい時代に、劇場人としていかに思考すべきか
「言葉を揃える」
  ――理念と使命を共有して、はじめて稼働する文化芸術機関の組織論とヒューマンリソース・マネジメント 
劇場経営とは、逆三角形の組織で「新しい価値」をつくること

<刊行に寄せて>
劇場史からみた可児市文化創造センターと衛の劇場哲学
   ──柴田英杞
クリエイティブな源泉と、いのちの賑わい 
  ──可児市文化創造センター ala 半田 将仁

【著者】

衛 紀生 (えい きせい)
1947年東京生まれ。早稲田大学中退後、虫プロダクション企画演出課に勤務。ほぼ同時に演劇批評家として雑誌『新劇』等に連載を始める。70年代後半、山崎哲、渡辺えり子、 北村想、竹内銃一郎らをいち早く評価して「第三世代」のネーミングマスターとなる。80年代後半からBSエンターテイメント・ニュースの演劇キャスターを務め、93年に地域演劇の振興と演劇環境の整備を目的に舞台芸術環境フォーラムを設立。早稲田大学文学部講師、県立宮城大学事業構想学部・大学院事業構想学研究科客員教授を経て、2007年4月に可児市文化創造センター館長兼劇場総監督就任。2021年4月より可児市文化創造センターシニアアドバイザー兼まち元気そうだん室長に就任。文化経済学会〈日本〉顧問、東京藝術大学演奏芸術センター非常勤講師、岐阜医療科学大学非常勤講師。平成28年度(2016年度)芸術選奨文部科学大臣賞受賞(芸術振興部門)。文化庁や芸術文化振興基金の専門委員を務めるほか、金沢市民芸術村、長岡芸術文化振興財団をはじめ各地の自治体で文化行政アドバイザーとして活躍する一方、歌舞伎・演劇評論家として、読売演劇大賞などの審査委員を務める。主書に『芸術文化行政と地域社会』 『これからの芸術文化政策』 『地域に生きる劇場』など。

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